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埼玉県川越市の 総合建設 一級建築士事務所

宮城県栗原市若柳地区の状況

この度の東日本大震災において、被害に遭われました皆様方に心よりお見舞い申し上げ ます。

宮城県栗原市若柳地区 の状況
2011年 3月14日
行き方は、 新潟市 → 鶴岡市 → 新庄市 → 最上町 → 栗原市

倉沢建設株式会社 構造設計一級建築士 倉沢延寿

① 「建物は今後の使用することができるか?」
・今後も建物は使用できます。
建物構造の鉄骨躯体には被害は無く、耐震上の安全性は確保できています。

② 「生産活動はすぐに開始できるか?」
・生産活動はすぐにできません。
2階の非構造部材(2辞部材)である、間仕切り壁、天井、パーテーション、及び
照明器具が剥落しており、その撤去が必要です。

③ 「生産活動はいつ頃から始められるか?」
・被災地域のインフラ整備状況に大きく作用されます。
3月14日時点での被災地は、
(A)被災地域内外への通信連絡が全くとれないため、一軒づつ人を訪ねています。
(B)電気がないため、あらゆる工具が使えません。
(C)ガソリンと軽油ないため、発電機や重機を使えません。
(E)建設重機は、重度の被災地域の応援に使われています。
・復旧までのプロセスは、
1建物内の破損物の撤去 (*廃材処分は当分できないため、敷地内保管です)
2建物の間仕切り壁・天井の復旧(*この工程は、後日でも可能です)
3建物を揺れにくくする剛性補強(*この工程は、後日でも可能です)
4電気配線、照明器具の復旧
5空調設備の復旧
6給排水、ガス設備の復旧
・上記プロセスは、環境が恵まれた状況下の突貫工事で1カ月となり、
後は被災地インフラ整備状況によります。
・必要な機器の搬出は、動線ルートの破損物の撤去に1週間前後必要と思われます。
若柳から坂戸工場までは、大型車の通れる一般道で結ばれているため運送は可能です。
④ 建物の被災状況
(周辺地盤)
・建物周囲及び敷地内に地盤沈下はありません。
(建物躯体)
・建物の残留変形はなし
・目視確認できる範囲での基礎にひび割れはなし、
・鉄骨架構の柱脚は埋め込みのため、目視できる床のひび割れはなし。
・鉄骨架構の柱梁接合部は、6か所のサンプル調査では、溶接のひび割れなし。
(屋根)
・外周からの目視では、影響なし。
(外壁)
・2階東面、西面、南面の一部で剥落のため、その交換。
(窓、開口部)
・2階東面、南面の一部は脱落しているため、その交換。
・2階東面、南面のガラスが破損しているため、その交換。
(エキスパンション・ジョイント)
・屋根、壁は変形しているため、交換の必要。
(内装)
・2階天井、2階間仕切り壁、パーテーションはすべて撤去、再構築。
・階段面などのGLボード壁の一部交換。
(電気)
・2階天井照明、火災設備関係はすべて撤去、交換。
・1階天井照明、火災設備関係は破損個所のみ交換。
・配線も一部破損個所の交換
(空調)
・北面の室外機は、破損しているため、交換。
・屋内の空調機器は未調査。
(給排水設備)
・配管を含めて未調査。
(ボイラー設備等)
・配管を含めて未調査。

⑤ 補強について
・現状の躯体に被害はありませんが、2階の剛性が少ないため変形が大きくなり、2階の被害が大きくなったと考えます。したがって、耐力補強ではない、剛性補強を行うことで、今後の地震に対しての生産活動を確保できると考えます。
⑥ 現地社員が困っていること。
(A)被災地内外への通信連絡手段がないこと。仲間内での連絡もできない。
災害用伝言ダイヤルも、公衆電話も、携帯電話も使うことができない。
一部ソーラーパネルを備えている住宅の固定電話は使えるようです。
(B)電気がないため、夜が暗くて不安。
余震があり、ロウソクは火災が怖くて使いたくない。
(C)お風呂に入れない、髪が洗えない。
(D)水がでない。トイレを使えない。
(E)情報がない。
・TVも見れず、インターネットも使えない。
・近所の商店のどこで何が買えるのか、など身近な情報交換もできない。
*これは、会社内での情報伝言板をつくって、情報交換ツールとするそうす。
・どこまで電気が来ているのかも、何も知らない状況です。
⑦  現地で欲しいもの。
・乾電池(単三、単一) *この声が圧倒的に大きい。
・懐中電灯
・ガソリン、灯油
・水(配給は一日一人20リットル)
・食料のうちおかず (米はたくさんあるので、)
・生理用品
・トイレットペーパー
(注)現地で足りているものは、毛布や洋服。
⑧ その他
・車で一時間弱ほど走った、山形県最上町は電気はありセブンイレブンも営業中。
ただし、おにぎりやサンドイッチなどは、納品がないため、売っていませんでした。
・宮城県に入った途端(鳴子町)から、電気は来ていませんでした。
・宮城県鳴子町、栗原市内は、建物被害はほぼ無く、古い建物のモルタル壁が若干
はがれていたり、石積みの門柱が倒れている程度でした。

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